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記事タイトル:風俗嬢が体験した人間の怖い話

ライター:   閲覧数:14205

2019-08-03 13:44:57

どうも、儚です。

今回は、私の風俗嬢時代の恐怖体験からひとつ、お話したいと思います。
幽霊やおばけが出てくるわけではありませんので、ソレ系が苦手な方はご安心を!
ただ、「人間怖い」系のお話が苦手な方はご注意ください。
では、スタート。

【風俗ビルのお店】

当時私は俗にいう箱ヘルに勤めていたのですが、そのお店は風俗街によくある「風俗ビル」に入っていました。
風俗ビルというのは1階から最上階まですべてのテナントが風俗店という、まさに「性域」と言った感じの建物。
ビルの外にはいかがわしい店名の看板が並び、夜になるとその一帯は怪しげなネオンに包まれます。

私は風俗嬢時代、ほぼ一貫して日中のみのシフトで働いてきました。
当時の箱ヘルも、時間で言えば朝の9時から16時くらいまでの時間帯で勤務。
なぜ日中のシフトにこだわっていたかと言えば、退勤後そのまま繁華街へ飲みに出るというのが私の楽しみだったからです。

早番と遅番の嬢の入れ替わりの時間というのは、営業時間が被る風俗店においてはだいたい同じ。
16〜17時くらいにかけて風俗ビルから出てくる女の子(マスク率高し)は、かなりの確率でそのビルで働いている子…という状況だったのです。

私が働いていたお店は、他店であってもなるべく嬢や利用客とエレベーター・階段で鉢合わせになることのないようにスタッフが出勤・退勤時は途中まで送ってくれたり、見張ってくれたりしていました。

【ある日の仕事終わり】

その日は確か、結構気温の上がった快晴の初夏の日だったと思います。
ちょうどビアガーデンなどもちらほら始まっていて、外で飲むのもいいなあなんて、退勤後にどこに飲みに行くか昼過ぎくらいから考えていました。

基本的に誘われれば断らないですし、人と飲むのも大好きな私。
しかしその日に限って誰からもお誘いは無く…そのまま最後の接客を終え、退勤の時間になってしまいました。

仕方ないので一人で飲みに行くか…なんて考えながら着替えを済ませ、店の受付へ。
そこでその日の稼ぎを手渡しで受け取り、テンションも上がっていました。
いつも通りスタッフがエレベーター前まで送ってくれ、他に乗っている人がいないか確認。
先客はおらず、私はそのままエレベーターに乗り込み、嬢とも客とも会うことなく風俗ビルを後にしました。

そのビルの出入り口は客引きが多くたむろしていたので(※違法です)、その客引きたちの合間を縫い、繁華街の方へと向かおうと歩を早めたその時。

「お姉さんお姉さん!」

一人の男性から声をかけられたのです。

【ナンパ…?】

突然後ろから声をかけられた私は驚きましたが、振り向くとそこに立っていた男性を見て少々怪訝に思いました。
というのもその界隈で私がいつも声をかけられるのは、俗に言うスカウトマンばかり。
夜の仕事や風俗の仕事をあっせんする彼らはなぜか総じてちょっとガラの悪い風なファッションに身を包み、私に言わせれば胡散臭そうな空気丸出し。

しかしその時私に声をかけてきたのは、割と好青年風なさわやか系の人物だったのです。
私の経験の中でこういったタイプのスカウトマンに遭遇したことは無く、

「これはスカウトマンの新種なのか?」

と彼の顔を見ながら一瞬考えてしまったほど。
その私の表情を見て彼は言いました。

「怪しいものじゃないよ!…って言っても信じてもらえないだろうけど…。」

「スカウトじゃないんですか?」

「え?なにそれ?」

どうやら本当にスカウトではないようでした。
そこで話を聞くと、彼は20代前半の社会人で地方から出てきたばかりで友達がいないとのこと。
しかし天気が良く最高の気候の今日、どうしてもビアガーデンに行きたくなり、街に出てぶっつけで女の子に声をかけて誘ってみようと勇気を出したのだと言いました。

いまどきそんな肉食系の男性がいるのかと私は少々感動を覚えました。
私の周囲は仕事の客を除けば、ナンパどころか女子と会話をすることすら避けるタイプの男性ばかりだったのです。

私も若干どこかネジの緩んだところがあるので、その男性のガッツに感動したこと、自分も飲みに行く相手が欲しかったことなどいろんな条件を考えた結果、一緒に飲みに行くことに決めたのでした。
数人同士ならまだしも1対1で相手について行くなんて、普通しないのが当たり前だと思います。

そして彼が行きたいというビアガーデンの会場へと、一緒に歩を進めていた時、事件は起こりました。

【危険なのは客だけじゃなかった】

「こんな奥まったところでもビアガーデンなんてやってるんですねえ…?」

彼が会場までのルートはわかるというので、ただ黙ってついて行った私。
しかし繁華街の中心を抜け、本当にこれ以上先に行ったところでビアガーデンなんてやっているのか?と疑問に思うほど、はずれの方まで来てしまいました。
そこで率直にその疑問を口にしたのですが、それに対して彼は無言。

あれ?と思った次の瞬間、私は彼に強引に腕を引かれ、すぐ横にあったラブホテルに引っ張り込まれたのです。

普通こんな状況におかれれば、悲鳴をあげたり暴れるところでしょう。
しかし風俗嬢として様々な修羅場におかれてきた私は、変に冷静でした。

私「どうしたんですか?なんのつもり?」

彼「言わなくたってわかるだろ、ヤらせろ」

私「なんでですか?」

彼「…なんでもクソも、ヤりたいからに決まってるだろ!いいじゃん、あんた風俗嬢だろ、あのビルから出てきたんだから。」

ここにきて私は、なるほどな…と思いました。
あの風俗ビルから夕方にちらほらと出てくる女の子は、仕事の早・遅番の切り替わりで退勤した風俗嬢たちだと、彼は知っていたのです。
そしてここからは勘違いも甚だしいのですが、風俗嬢ならば誰にでもヤらせると思い込んでいるようでした。

私「風俗嬢だからこそ、その辺の男性にタダでヤらせるわけにはいかないので、どうしてもならお店に来て指名してください」

彼「は?!」

その隙をついて私はホテルの入り口と逆の方向に走りました。
実はそのホテルには裏口があり、そこを抜けてすぐのところに交番があるということを知っていたのです。
彼は猛ダッシュでついてきましたが、裏口を出て交番が目に入った瞬間、踵を返して消えていきました。

【まとめ】

それにしても、本当に下衆な奴が世の中にはいるもんだな、と思いましたね。
軽いノリでついて行った私にも非はもちろんありますが、風俗嬢を狙うためにわざわざ風俗ビルに張り込んで、その出入りを監視していた彼の根性は人として最低です。

世の中にはこういった人間もいるので、風俗嬢の皆さんはお店の外でも自分をしっかりと守るように注意してくださいね。
ナンパされても、一人の時はついて行ったりしないことをオススメします。

ちなみにこの時私の身を救ったのは、私自身の風俗嬢としての経験です。
私はデリヘル嬢としても長く働いていたので、彼が私を連れ込もうとしたホテルには実は飽きるほど行ったことがありました。
なのでホテルの構造や裏に交番があるということがわかっていたのです…。
この辺りはもう若干笑い話ですね(笑)。

しかし、お店の外でも風俗嬢であるということから襲われかけたというのは本当に怖かったです。
人間って怖いですね。

「身を守るために、軽率な行動はしない方がいい」
「人は見かけによらないし、怖い生き物だ」
「どんな仕事であっても真剣にやっていれば、役に立つことがある」

これらが、この恐怖体験を通して私が学んだことでした。
では、また。

ライタープロフィール

儚

元風俗嬢

幼い頃から今に至るまで「事実は小説より奇なり」の変態ホイホイ人間。おかげさまで普通の感覚を超越し、好奇心からデリヘル、箱ヘル、ソープランドから高級クラブ、その他諸々経験済。現在自…

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