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記事タイトル:元風俗嬢のイベント回想記~節分珍客編~

ライター:   閲覧数:2875

2019-02-01 12:18:50

どうも、儚です。
街を歩くたび、その時期ごとに飲食店やショップを彩るイベントの装飾。そういう風景を目にすると、普通であれば「もうこんな季節か」と感慨深くなったりイベントによっては「恋人がほしいなあ」なんて妄想したりしますよね。
しかし、風俗歴の長い私の場合、街を歩けばイベントごとに「20○○年のこの時期はあの店にいたな…あのイベントは苦痛だった…あの時の客はこうだった…」など仕事の記憶が直結して呼びさまされることが多々あります。今回はそんな記憶の中から、ふと思い出して笑ってしまった「節分の日」のエピソードをお話ししたいと思います。

【事件前夜】

数年前の2月2日。当時私はとある店舗型ヘルスに勤務していました。そのお店ではお客様との直接連絡先の交換は当然のことながら禁止されており、替わりにお店のホームページ上の掲示板でスタッフの目の届く範囲内でのやり取りが可能、という少々変わったシステムがありました。その日私は休みをもらっており、自宅で一人晩酌。しかし夜の10時過ぎ、突然お店から連絡が入りました。

「掲示板に儚さん宛の書き込みがあったので対応お願いします」

こちらの掲示板機能、実はスタッフと本人だけではなく全体に向けて書き込みが公開されてしまう設定だったので当時はあまり人気がなく、書き込む人はごく稀。わたしも入店してから数か月で初めてのことだったので驚きました。少し緊張しつつ掲示板にアクセスすると、そこに私宛の投稿が。今でもはっきり覚えています。

「儚さんへ…質問があります!!マメはお好きですか!?好きなマメ教えてください!!」

びっくりマークを多用した、文字からも伝わるハイテンション。且つちょっと意味の分からない書き込みに酔いも冷めました。マメ…って、豆のこと?食べる豆?それとも隠語で、もしかして女性器に関することを言っているのか?などしばし考えましたが、真面目な私は真面目に返信することを決めました。

「書き込みありがとうございます!マメに関してですが、わたしは大好きですね!特に枝豆とピーナッツが好きです!!」

完全に、つまみ。そしてハイテンションにそれなりに合わせた雰囲気で返信を終え、お店のスタッフから「(笑)」と一言連絡を受け、翌日の仕事に備えて私は眠りにつきました。

【不穏な空気】

たっぷり睡眠をとった私は2月3日、元気に出勤。その日私は早番で、8時半から接客スタートだったのですが準備をしているとスタッフが部屋を訪ねてきて言いました。

「儚さん、1人目さ、新規予約の客なんだけどちょっとお願いがあるみたい。」

「なんですか?」

「部屋に入るときにコスプレして入室したいって言ってる」

「は?」

私にコスプレを要求するのではなくお客様側が、というのは初の依頼です。驚きつつも時間が迫っていたためとりあえずOKを出しましたが、謎すぎる依頼に不安を感じつつ、先に待合室の映像をチェック。知り合いでないことを確認し、「自分で勝手に部屋に入るので待っていてほしい」という彼の要求を叶えるため私は一人ベッドで待機…。ちなみにそのお客様、映像で見る限りはごく普通の方でした。

【襲来】

予定時間から3分ほど過ぎたとき、部屋の前の廊下に何かの気配を感じました。来る…!身構えつつドアを凝視する私。すると、引き戸が数センチ開き、そこから手が伸びてきて私の方へ何かの入った袋を放り投げたのです。あわてて床に落ちた袋を拾い上げ、中を確認するとそこにはなんと「皮付きの枝豆」が詰まっていました。
困惑しつつもう一度ドアを見ると、そこには何と「赤鬼」が立っていたのです。コスプレってこれかよ…。眼があった瞬間にその鬼は「うおおお」と声を発しながら入室。風俗店は防音性が意外とないということを知ってか知らずか、その声がセリフの割にささやき声というところに彼の本来の性格を見た気がしました…。
当初なにがなんだかわからず混乱しましたが、なんとか「今日は節分だ」ということを思い出し、この事態が豆まきであるという結論に達した私はあわてて目の前の鬼へ向けて枝豆を投げつけました。

「鬼は外~…」

もちろん私も小声です。狭い部屋の中で異常にリアルな鬼の面をかぶり襲い掛かる男と、それに対し枝豆で対抗する風俗嬢、まさにカオス。そしてその後さらにカオスな展開が待ち受けていました。

【人外とプレイ】

しばし鬼に枝豆をぶつけていると、突然動きを止める鬼。何かと思った瞬間、おもむろに服を脱ぎ始めました。前開きのシャツを着ていたので、面を外すことなく全裸になる鬼。そして…律儀にシャワールームへ入っていったのです。私はすべてを察して覚悟を決めました。身体を洗って出てきた鬼は、予想通り私に「その姿のまま」襲い掛かります。
ある程度照明を落とした薄暗い部屋の中、リアルな鬼の面とその下の人間の身体のコントラストはまるで新種の妖怪のように見えました。気を抜くと笑いの波にさらわれそうだったので、無心で通常通りのサービスに徹します。途中、鬼が

「鬼の○○○○はどう?」

等と自分の陰部についての感想を求めてきたときには笑いのビッグウェーブに飲み込まれそうになりましたが何とか回避。

「人間のよりすごいです…」

と回答し、なんとかサービスを続けて20分ほどでフィニッシュ。翌日、腹筋の痛みに悩まされたことを覚えています。

【その後の話】

分かってはいましたが、その鬼は前日私にマメの好みについて掲示板で質問してきた相手でした。私の書く写メ日記を毎日読むうちに、「この子なら自分の欲求にうまく応えてくれそうだ」と判断したとのこと。まあ、真面目に書いていたので色々察する能力が高そうだと判断されたのだと思います。しかしただ要求するだけでは申し訳ないので、どうせなら好きなマメを、と考えたそうでその結果が「皮付き枝豆」でした。
時間の最後に彼はようやく面をはずし、

「また絶対来るから!枝豆はプレゼントです!!」

と言って帰っていきました。床に散らばる枝豆。これ、プレゼントかよ…。もちろん、持って帰って洗って茹でてビールと共においしくいただきました。
イベントにまつわる珍客やアクシデントのエピソードは事欠かない私。またふと思い出したときに紹介していきたいと思っています。では、また。

ライタープロフィール

儚

元風俗嬢

幼い頃から今に至るまで「事実は小説より奇なり」の変態ホイホイ人間。おかげさまで普通の感覚を超越し、好奇心からデリヘル、箱ヘル、ソープランドから高級クラブ、その他諸々経験済。現在自…

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