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記事タイトル:お客様と風俗嬢との、かなうはずもない小さな恋の物語

ライター:百花繚乱   閲覧数:5162

2019-12-07 15:06:09

こんにちは、アダルトライターの百花繚乱です。

以前の「デリヘルで思い出に残っているお客様たち」というコラムで少しだけ触れたことがあるかと思いますが、今回はわたしの一番の仲良しさんだったお客様との思い出話を書かせていただきます。

【最初は普通に良客様だった】

お客様のお名前は、仮にAさんとしましょうか。Aさんは当時のわたしよりも8歳ほど年上で、初対面からとっても紳士でした。身長はあまり高くはなく、お顔は笑顔しか思い出せないほどにいつもニコニコしていらした印象です。
 
お恥ずかしながら当時のわたしはかなりのメンヘラで、鬼出勤はするもののいい加減でダラけた仕事っぷりでしたので、当然のことながらお客様ノートなんていうものはつけてもいません。Aさんははじめましてのときはネット指名をしてくれたような気もしますが、もしかしたら偶然ついたフリー客だったのかもしれません。

二度目にお会いしたのは初対面の2週間後で、もちろん本指名をしてくださいました。精神薬の飲みすぎで頭がぼーっとしていて、うっかり「はじめまして」と挨拶しなくて良かったです。

Aさんは関西方面からの出張が多いとおっしゃっていました。わたしなんかのどこを気に入ってくださったのか、東京に出張で来られるたびに本指名で呼んでくださるようになっていきました。

当時のわたしは転々虫で、ちょっと嫌なことでもあったり稼げなかったりすると無断でお店を変わってしまうような、非常に最低な風俗嬢でした。コロコロお店や源氏名が変わるわたしに「またお店を変わったの??」なんてあきれたそぶりも見せずに、きちんと「○○さん(そのお店でのわたしの源氏名)を、以前いたお店から指名していました。今回も本指名でお願いします」と新しいお店にも電話で正直に申告してご予約を取ってくださる、そんな良客……いえ、神客様だったのです。

【Aさんがだんだん本気になるのがわかった】

そんなAさんとのプレイ内容はというと、いたってノーマルなソフトプレイのみでしたので、特記するような記憶はありません。メンヘラだったので実のことをいうと、風俗嬢をしていた当時のことは頭にもやがかかっているようで、あまり正確に思い出すことはできないのです。

太い本指名客だったからといって本強をされたことも一度もなければ、わたしの得意プレイだったAF(アナルファック)を要求されたことさえありませんでした。あくまでも初々しい恋人同士かのような、優しいプレイばかりでした。

そしてだんだんと、そんな優しいプレイさえしない日も多くなってくるのです。ロングでのご指名中にホテルの部屋でふたりきりで何をしていたかというと、わたしが好きだと言ったご当地スイーツのお土産を毎回用意してきてくれ、一緒に食べながらおしゃべりをしたりしていただけです。

おしゃべりをするといっても、わたしの個人情報やプライベートな質問をされたことはありません。当たり障りのない子供のころにしていた遊びの話だとか、昔好きだった芸能人の話だとか……本当に、どうでもいいような内容の話題ばかりでした。そんな会話の中で、Aさんに奥さまとお子様がいることも知りました。

ある日、直接メールもしていなかったのに突然会いに来てくださったことがあります。「今回は出張じゃないんだ。急に○○さんに会いたくなって来ただけ」とおっしゃって、プレイ時間が終わるとそのままトンボ帰りで東京を後にしたようでした。

鈍感なわたしも、さすがに気づきました。「Aさんは、わたしのことを本気で好きになってしまったのだな」ということを。

【Aさんは最後のお客様】

そんなふわふわした関係が2年ほど続いたでしょうか。わたしはある一般男性と結婚することを理由に、風俗業界を完全に引退することを決めました。

お店にもちゃんとした理由は言いませんでしたが、Aさんにだけは嘘をつきたくありません。「結婚することになったから、風俗にはもう戻らないです。普通の仕事をして頑張っていきたい」とメールをすると、数時間後に「本当におめでとう!」という返信が返ってきました。

最後の出勤日には、Aさんはわたしの勤務時間いっぱいまで貸し切りしてくださいました。いつものようにご当地スイーツを食べましたが、わたしの結婚相手のことなどは一切質問してきませんでした。

なんだか切ない気分になりはじめたころ、Aさんは自分のバッグから小さな紙袋を取り出しました。箱を開けると、スワロフスキーの四つ葉のクローバー型をしたキラキラと輝くアクセサリーでした。

「四つ葉のクローバーを持っていると、絶対に幸せになれるっていうから」

わたしは最後まで、泣きませんでした。笑顔のまま、Aさんと永遠にさようならをしたのです。お客様にもらったものはお店の子にすぐにあげてしまうか、捨ててしまうような女でしたが、そのアクセサリーだけは夫に内緒でいまだに隠し持っています。

Aさんと会うことは、もう二度とありません。

しかし、「お守りをありがとう。おかげさまで幸せにやっています」わたしの人生において、忘れられない大切な思い出の男性の一人となっています。

ライタープロフィール

百花繚乱

百花繚乱 元風俗嬢

アダルトライター・風俗ライターの百花繚乱です。 お下劣ショークラブからスタートし、アダルトライブチャット、セクキャバ、デリヘル、ホテヘルなどを転々と経験。 元メンヘラ風俗嬢ですが、…

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