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風俗トピックス

性風俗産業の権利を訴える国会議員が誕生するかもしれない件について

野田 珠輝

2022-06-22 15:20:05

SWASHというセックスワーカーが安全・健康に働けることを目指して活動する団体の代表、要友紀子氏が7月の参議院議員選挙に出馬することを表明しました。
立憲民主党から出馬することに不安を感じ、疑問視される方もいるようです。私は党による考え方の違いなどは正直に言ってよくわかりません。
しかし所信表明でご自身がおっしゃっていたように、同じ党の議員が全員同じ考え方をしているはずはありません。どの党から推薦を得ようと、政治家として他の議員や国民に適切なアプローチをしてくださる氏を応援させていただきたく、この文章を書いています。

【要友紀子さんについて】

もう何年前だったかわかりませんが、「風俗嬢さんが安心して働ける環境が作れれば」と考えた私はインターネットで調べてSWASHにたどり着きました。
突発的にメールでアポを取り、要さんに会いに大阪へ。
どこの誰かもよくわからない私に、まずは活動するにあたって知っておくべき初歩的な言葉を、かみ砕いて丁寧に説明してくれました。
そこから法整備の問題点や慣習的な難しさ、自分自身が心身ともに健康的でないといけないことや金銭的な問題を知り愕然。
風俗嬢が孤立せず安全に働くことはこんなにも難しいのか…と「私には無理だ」と思った記憶があります。

しかし要さんはそのようなことを、私がパッと思いつくずっと前から真摯に取り組んできた方です。
お会いした回数こそ多くはありませんが、こっそりと活動を見守っており、その姿勢は今でもずっと変わりません。

【選挙に出て議員になるということ】

衆議院であれば25歳、参議院であれば30歳になれば、誰でも選挙に出馬できます。(※犯罪歴のある人などを除く)
しかし実態としてはまとまった資金が必要です。
たとえば必ずかかるものとして供託金。
『託す』と書かれており返還されるものではありますが、規定の票数に届かなければ没収されます。
供託金を捻出するのですから、当選はもちろんのこと最低ラインの票数は獲得したいところ。
それには広告費や人件費など、自分や自分の考えを知ってもらうためにさまざまな経費もかかります。

さらに当選すれば、自分の推し進める活動だけしていればいいわけではありません。
国会議員の仕事は法律の制定、予算の議決など、国のあり方全体にかかわります。
身も蓋もない話ですが、もしAという法案を通したければBの法案に賛成してくれと言われることもあるかもしれません。
どの党に入るかだけでなく、派閥も関係してくるでしょう。
私はもちろん政治家になったことはありませんが、社会人としてそういうこともあるのではないかと勝手ながら想像します。

【女性が議員になることと少子化問題】

実を言うと私も「選挙に出て議員になるのが業界を変える一番の近道ではないか」と考えたことがあります。
しかし供託金をはじめとした金銭的な問題はもちろんのこと、実名で世に顔を晒さなければいけません。
近しい家族や友人だけならまだしも、親戚一同に迷惑をかけることもあるでしょう。
そこをクリアして無事当選したとしても『元風俗嬢議員』として色眼鏡で見られることは容易に想像できます。
私がどんなに真面目に仕事をしても「元風俗嬢ならエッチなことが好きなんだろ」と勘違いした年配議員にセクハラを受けるのではないかと恐怖を感じます。

過去に独身の女性議員が少子化問題について答弁していたところ、「自分は子どもを産まないのか」とやじを飛ばされたことが問題になりました。
2022年になっても法律上は『男女が結婚して子どもを持つ』というステレオタイプな『家族』を求めているのであろうと思います。
(先日大阪地裁で『同性婚ができないのは憲法に違反していない』と判決が出たばかりです)
女性が議員になることは非常にハードルの高いことです。
産休は一律にしか認められておらず、切迫早産や妊娠悪阻で休まざるを得ない場合の配慮も少ないでしょう。
育休にいたってはその文言すらない状態です。
政府は女性の政治家を増やしたいと言っていますが、出産も子育ても終えた、もしくはもう子どもの産めない年齢の女性しか頭にないのでしょうか。
若手女性議員が子どもを持たない場合は、センシティブな理由の説明責任が必要なのかもしれませんね。

【社会福祉とセックスワーク】

性風俗産業は最後のセーフティーネットだとマスコミに取り上げられます。
風俗では働きたくなかったのに働いている女性ももちろんおり、確かにその側面はあるでしょう。
しかしセックスワークに参入する女性が増え、価格は下がり、もはやセーフティーネットとして機能しているかどうかも怪しいところ。

性風俗の問題は社会福祉とも密接につながります。
たとえばシングルマザーが働きにくい世の中が変われば、セーフティーネットとして性風俗産業に身を置く女性は減るのではないでしょうか。
非正規雇用でも生活していける世の中になれば、やらなくていいセックスワークはやらなくて済むのではないでしょうか。
コロナ禍で自己責任論は少し弱まった気はしますが、「若いのだから働け」と切り捨てられずにいてほしい。
今風俗で働いていて辛い思いをしている方にも、必要な支援が当たり前に届く世界になってほしい。
そう切に願っています。

【まとめ:人権を尊重してほしい】

どうして今私がこんなことを書くのか。
それは憲法の三原則のうちのひとつ「基本的人権の尊重」を守ってほしいからです。
風俗嬢も風俗ユーザーも、子どもを持つ人も持たない人も、同性婚をしたい人も別姓で結婚したい人も。
どんな方の人権も守られるべきです。
いわゆるマジョリティの方でも昨今の急激な円安進行で職や家を失い、いつマイノリティになるかわからない時代です。
家族単位ではなく個の単位で幸福を追求できることが、本来の政治の在り方ではないでしょうか。
それにはまず「平和」な日常が送れること、「国民が主権」を握って政治を、世の中を動かしていくという気持ちをそれぞれが強く持っていることが大事でしょう。

私の考えと要友紀子氏の考えが必ずしも一致しているとは限りませんが、私は彼女を支持します。
氏の掲げる政策はYouTubeの動画などでもわかりやすく解説しています!

選挙は怖くないし、簡単にできます。
いろいろな事情はあるでしょうが、投票をしなかった人は国の政策に対して文句を言う権利はないと私は個人的に思っています。
自分の生きている場所なのだから、投票する権利がある方はぜひ自分の一票を活用してください。
どの人も何を言っているかわからなければ、党の名前やなんとなくのニュアンスで決めても大丈夫。
まずは投票をすることが大切なんです。
一歩踏み出せれば次の選挙の際には少し頭がクリアになって、自分の意思で「誰に投票しよう」と考えられると思います。

ライタープロフィール

野田 珠輝 元風俗嬢

北の孤島に在住する元風俗嬢ライター。 体験入店を含めればほぼすべての業種を経験したといっても過言ではない。 基本的にはソープがメイン。 きちんと在籍したのは、メンズエステやデリヘル、…

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